
自費出版の本を1万5000冊以上集めた「自費出版ライブラリー 考耕行(こうこうこう)」が10月1日、近江八幡市浅小井町のヴォーリズみらいビレッジ内に開設された。
蔵書は、自費出版の普及や流通支援などを行うNPO法人日本自費出版ネットワークが設置。1998(平成11)年から続く「日本自費出版文化賞」の応募作品を収蔵し、地域文化、個人誌、小説、エッセー、詩歌、研究・評論、グラフィックのジャンルごとに展示する。入賞・大賞、入選の受賞作も分かるように並べた。
同ネットワークの岩根順子副代表理事は「全国から寄せられた本は各地の図書館などでの巡回展示にとどまっていた。書店で流通していない本が半数を占める。著者の思いが込められた宝物のような作品を見つけてほしい。本作りのきっかけにもなれば」と話す。
運営は市内の広告デザイン会社ウエスト。同社は2022年から、旧近江兄弟社小学校(現ヴォーリズみらいビレッジ)の教室を借り、子育て世代向けのオンライン事業部を設けていた。企業本出版の事業化を検討する中で、施設の活用を模索する「ヴォーリズ学園」の協力を得て、旧小学校の図書室を活用し、自費出版ライブラリーを立ち上げた。長年にわたり本の置き場を探していたネットワークの意向とも一致し、今回の開設につながった。
ウエストの片山幸博社長は「施設名の『考耕行』は本をきっかけに考えを耕し、行動につなげる意味と、行動から耕し考える意味を込めた。ここにしかない本で新しい発見をし、紙の本の魅力を体感してほしい。近江八幡での出会いも記憶に残してもらえればうれしい」と話す。
蔵書は館内で自由に閲覧でき、一部はキャッシュレス決済で購入できる。開館時間は10時~17時。インスタグラムで開館日のカレンダーを公開し、入館申し込みを受け付ける。入館無料。