
旧近江兄弟社小学校「みらいビレッジ」(近江八幡市浅小井町)内に5月6日、子どもがオーナーとなる「貸棚こども書店 ほんなら」がオープンする。運営は有限会社ウエスト(鷹飼町)。
旧小学校の昇降口スペースを活用し、かつて児童が使っていた木製の下駄箱や机、椅子、棚を再利用した温かみのある空間が特徴。年中園児から小学4年生までの7人がオーナーとして本棚を構え、絵本や図鑑、保護者の趣味の本などが並ぶ。
4月26日に開かれた開業式では、出店する子どもたちと保護者が集い、新たな本屋の門出を祝った。施設長の片山幸博さんはビデオレターで「金銭価値が発生する店舗経験は、社会勉強になる」と子どもたちにエールを送った。
同店マネジャーの脇本よもぎさんから出店者に「開業証」が手渡され、奥宮神社による商売繁盛の祈とうも行われた。同神社の権禰宜(ごんねぎ)久野祐太郎さんは、「旧小学校の玄関口という場所は、多くの子どもたちが日々をスタートさせた特別な場所。本屋として新たに歩み始める場としてもふさわしい。長く使われてきた場所で、大切に読まれてきた本を次の人へ手渡していく取り組みは物を大事にする心を育む」と話す。
オーナーの一人、彦根市の小学4年生・種村隆樹さんは、自らの名前にちなみ店名を「竜の本屋さん」と命名。これまで大切に読んできた本を「みんなに読んでほしい」と笑顔を見せた。父親の智洋さんは「本の並べ方や値付けも子どもに任せている。楽しんでくれたら」と話す。
棚は月額1,000円で、初回は2棚・6カ月契約から。売り上げはオーナーである子どもたちに支払われる。脇本さんは「自作の絵本やイラスト集も出品できる。どうすれば売れるかを考えるのも楽しい」と話し、「絵本を読んでもらった経験は、誰かに愛情をもらった記憶とともに残る。ほんならも、本を通じて経営を学び、人とつながる記憶に残る場所にしたい」と思いを語る。
多世代が集う「みらいビレッジ」内という立地も特徴で、開店準備中には「家にある本を持ってきたい」と地域住民から声がかかるなど、自然な交流も生まれている。今後は、本屋を盛り上げるワークショップや、地域イベントとのコラボ企画も検討している。
営業時間は10時~17時。日曜・月曜定休。