
近江八幡市役所(近江八幡市桜宮)で8月1日、空き家の流通促進や利活用を担う「地域おこし協力隊」の委嘱状交付式が行われた。
市長応接室で行われた式では、小西理市長が新たに着任する渋江正利さんに委嘱状を手渡した。渋江さんは奈良県から移住。建築を担当する元公務員で、建物の設計や施工、許認可に関する知見に加え、事業者や団体との調整経験もあることから、複数の応募者の中から選ばれた。
市は2012(平成24)年から同制度を導入しており、現在は企画課、観光政策課、文化振興課などで10人が活動中。渋江さんは11人目となる。
渋江さんは「退職を迎える前から60歳以降の人生について考えていた。趣味の釣りで琵琶湖を訪れるうちに、近江八幡の環境やヴォーリズ建築に引かれた。これまでの経験を生かしながら、地域特有のやり方を尊重し、相談窓口として取り組みたい。自分一人ではなく、地域の知恵と力が必要。まずは協力事業者とのネットワークづくりを進めたい」と話す。
市の住宅施策推進室によると、以前の調査では約500戸の空き家が確認されていたが、現在はそれを大きく上回っているという。小西市長は「高齢者が土地を手放さず、町内の人にしか売らない例もある。利活用の必要性は高まっている。旧市街の町家などはできる限り特徴を残しながら、外からの視点で新しい仕組みをつくってほしい」と期待を寄せた。
渋江さんの任期はおおむね1年から3年。これまでに市の地域おこし協力隊を卒業した9人のうち7人が、引き続き市内に定住している。